[ちば教育最前線]
セクシュアル・ハラスメントは教育現場も無関係ではない。いかに対応したらいいか。戸惑う教職員向けの研修がこのところ増えている。根っこにはジェンダーの問題もある。
県立高校や盲・聾・養護学校には、99年度からセクシュアル・ハラスメント相談窓口が置かれている。校長、教頭、事務長と、校長が任命する教員1人が相談員を務める。2月中旬、県立千葉女子高で、教員を対象とした初めての「県立学校セクハラ相談員研究協議会」が開かれた。
参加者は約170人。1人目の講師は、21世紀職業財団千葉事務所の雇用管理アドバイザー廣畑富子さんだった。「セクハラとはどういうものか、起こる背景などについて判例にも触れながらお話ししました」
まずは安心して話せる環境を作ること。秘密が保持されることを約束すること。相手の反応を確認しながら100%受け止めることなどを説明した。
●学校に相談員
続いて話をした県男女共同参画課の櫛引宣子さんは、「勇気を持って相談に来た人に『あなたにもすきがあった』とか、『いやならいやと言うべきだ』などと追い込むのは絶対避けるように」と相談員の心得を説いた。
「日ごろからジェンダー(社会的、文化的に形成された性役割)に敏感な視点を持つことが大切だと思います」と櫛引さんは指摘する。
教員の研修を行っている県総合教育センターでは、セクハラだけをテーマにした研修は行っていないが、初任者研修や新任教頭などを対象とした研修の中で、01年度から教職員の服務・倫理に関する講座を設けている。01年度は3講座だったが、今年度は6講座に増えた。
わいせつ・セクハラ行為は、児童・生徒に一生癒やすことのできない深い心の傷を残すことがある。このため服務・倫理についての注意は、ほぼすべての研修に盛り込まれている。
具体的には、修学旅行や部活動の合宿など、宿泊を伴う行事では飲酒をしないこと。わいせつ・セクハラについて情報を得たら直ちに管理職に報告するなど、いわゆる不祥事防止の注意だ。
県立八千代東高教諭の高藤丈世さんは、独自に研修に取り組んでいる。
「セクハラの問題は、ジェンダーと密接に結びついている」として、昨秋、教職員を対象に研修をした。高藤さんは同校のセクハラ相談員でもある。研修で高藤さんはこんなプリントを配った。
●まず意識改革
台所に積まれた汚れた食器の山の前で男女が向き合っているイラスト。空欄の吹き出しに思い浮かべる会話を書き入れてもらった。
男「だらしないなあ。ちゃんと洗えよ」
女「ごめんなさい」
これは「古典的」な会話。
女「今日はあなたの当番でしょ、忘れないでね」
男「分かりました。今日はやります」
家事を分担しているケース。
女「困ったな。あんなにたまってしまった」
男「気にしなくていいよ。ゆっくりやれば」
高藤さんはこの会話に注目した。「一見男性が優しそうに見えますが、片付けは女性がやるのが当然という無意識の感覚が認められます」と指摘する。
「私たちが目指しているのは、まず『気付く』こと。気がついた後、同じ誤りを再生産しないことに主眼をおいて研修しました」と語る。
教師である自分たちが「女性はこういうもの」という意識でいたら、生徒もそうだと思ってしまう。研修では、まず教師から気付くことの重要性を強調した。高藤さんは、ジェンダーを含んだ人権に関する校内研修会も計画している。
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