率直な言葉 関係変えた

読者の反響300通


 夫婦とは何か−−。性を通してその関係を探った連載「つないだ手は セックスレス夫婦」に、読者から300を超える投稿や意見が寄せられた。大半は、登場人物に自らを重ね、思いや体験をつづっていた。「自分だけじゃないんだ」「夫婦で話し合ってみた」という人も多かった。セックスレスに向き合い、話し合いで良い関係を取り戻した夫婦の話を聞いた。

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 九州で音楽関係の仕事をする妻(37)は、会社員の夫(40)と9年前に結婚。1年後からセックスレスになったが、今年になって関係が戻った。妻の「思い」が夫に伝わるまでに8年かかった。妻に会った。

 結婚後の夫の変化が理解できなかった。夕食後は自分の部屋にこもり、寝てしまう。会話といえば、趣味のこと以外は仕事の愚痴を聞かされるばかり。「忙しくて目も合わせないね」とつとめて明るく言うと、「男を責めるようなことをいうな」と大声を出す。疑問が不安に、不安は不信へと変わった。

 離婚を考え始めたとき、笑顔の消えた硬い表情に夫が気づいた。

 「自分でよければ悩みを聞きます」。夫から初めてメールをもらった。

 「別になにもないです」と、打ち返した。

 数日後の休日の朝。目覚めると夫がじっと私の顔を見つめていた。向き合っての話し合いがようやく始まった。

 夫は仕事の不振と、生家を建て直した住宅ローンを重荷に感じていた。夜になると不安が募ったという。喫煙をとがめられるのが嫌で距離をとっていたこと、私の仕事が順調でプレッシャーになっていたことも打ち明けた。

 「苦労も2人でなら何とかなると、楽観的に構えていた私とのズレがありました。小さな積み重ねが原因になるのですね」

 性的な感情や欲求が女性にもあることに、思い及ばなかった、ともいった。夫は私の話にうなずきながら耳を傾け「大切なものを失うところだった」と繰り返した。

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 岐阜県のピアノ教師の妻(35)は長男出産後、夫(37)と関係が途絶えた。妻の話を聞いた。

 夫はお産に立ち会った。それが原因なのかと、半年もたつと心配になった。直接聞き出す勇気はない。B5の学習ノートに3ページ、気持ちをつづった。

 「子どもを産んだら女ではないの。拒絶されると人格を否定された気がする。逃げないで教えて」

 次の休日。ノートを渡し、外出した。何も聞かれず、何も言い出さない。ぎこちない生活が続いた4日後、出勤する夫が玄関でノートを手渡した。

 「書いておいたから読んで」
 台所のいすに座り、呼吸を整えて、開いた。

 「愛情は子どもを産んでくれてむしろ強くなった。仕事でつらいこともあってしんどかった。ただ、自分の態度がそんなに傷つけていたとは知らなかった」

 ノートに2ページ。最後に、「お互いに思いやり、歩み寄ってやっていきたい」。
 力が抜けていった。自分の気持ちを一方的に押しつけていたことも反省した。

 昨年末の大掃除。収納箱にしまい込んでいたノートを、庭で焼いた。
 「ノートの心配はもう、大丈夫と思えるので」

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 連載で取り上げなかったケースや意見を投稿から

 ■一方的な夫

 兵庫県の主婦(38)は20代のころ、残業の多い仕事と家事で疲れ、眠りたくて夫の求めを拒むと「断るんだったら離婚を考える」と切り出された。「びっくりして、応じるようになりました。夫に養ってもらっている今、私にとって仕事だと割り切って」

 東京都の契約社員(32)は、拒否して1年。 「夫の欲求に妻が応じて当たり前というあからさまな態度。妻任せの避妊。中絶に至っても反省も思いやりもない。女性には体調や心理的な理由で気分がのらない時もあります」。離婚も考えている、という。

 ■30年拒まれ

 東京都の男性会社員(60)の妻は30年間、子づくり以外、応じなかった。「愛している人がすぐそばにいても抱けない」。イライラから体調を崩した、という。
 「多くの人は、性的な欲望は相手も自分と同じだろうと思って、結婚に踏み切っているのではないか。お互いの性に対する考えを十分に知ってから結婚しないと、不幸です」

 ■男女から親

 神奈川県の主婦(40)は、亡くなった父の言葉を思い返す。
 「夫婦は寝室を別にしてはだめだ。夜、電気を消した後の会話やスキンシップが、夫婦の見えない溝を大きくならないうちに埋めてくれる、と」
 夫とはセックスレスに近い状態。父の言いたかったことが今はわかる。「子どもができると父と母の役割が増えてくる。それで満足ならいいが、片方が男や女の部分をなくせないと、つらい思いをする」

 ■夫婦の幸せ

 神奈川県の主婦(49)は、セックスレスを当たり前と感じる自分と、欲望が薄れていない自分が同居する。「恥ずかしいことではないと思う。『今日は何となく交渉をもちたいね』。お互いがそんな和やかな愛を感じ続けられたら、夫婦として幸せだろう」

(07/17)