「自立」とは何かを考えようと、性に対する意識が成熟したオランダを取材した「つないだ手は オランダの女性たち」に、読者から多くの投稿が寄せられた。自分の体験と比べて、驚いたり、共感を示したり。前向きな生き方に励まされたという意見が、多かった。日本の私たちに生かすヒントはないか。投稿の一部をオランダの専門家の意見と共に紹介する。
○前向きな性に共感/環境の違い認識
投稿は大半が若い女性からだった。
「自分の体を守るのもコントロールするのも自分、という考えが徹底している」と感じたのは神奈川県の大学4年生(23)。「子どもができたらどうしよう」と受け身でいたが、3カ月前から避妊にピルも使い始めた。最初は「性に奔放な女」と誤解されるのではと心配したという。
「服用をきっかけに、自分の体や避妊に関して、彼や医師に相談するのがとても大切なことであると気付きました。男性と対等だからこそ、自分の性にきちんと向き合うことが必要だと思います」。連載で再確認したという。
10代からのメールも。大阪府枚方市の大学1年川潟亜寿沙さん(19)は、10代の子育て・同せいを描いた第4回について「とても堂々としてて前向きで、何よりも相手の男の子がちゃんと責任感を持ってることに感心しました」と寄せる。
週2日勤務の「パートタイム判事」を取り上げた第2回。ワークシェアリングで子育てと仕事の両立を実現する姿に「うらやましい」と書いたのは千葉県船橋市の及川るりこさん(28)。25歳で結婚、妊娠して仕事を辞め、子どもが1歳になって再就職。だが、今は専業主婦だ。
「子どもが病気になるたび職場に迷惑をかけ、休みを取ることに疲れました。責任をもって仕事をしたくても、子育てのためにあきらめる女性が今の日本では大勢います。早くワークシェアリングを日本にも、と思います」
東京都多摩市の阿部紀子さん(39)は、20代は仕事、30代に3人の子を「計画出産」した。母としての時間は手放したくない、仕事もしたいと思う。だが現実は厳しかった。近く転職を予定。引っ越しを伴うため、新たな保育所探しに悩む。
「長時間働く親が優先され、私のように勤務時間を抑えたい家庭は入所が難しい。子どもが小さいのにたくさん働かなければ入所できない仕組みは変です。自分のライフスタイルを堂々と公言し、認めさせるオランダの社会とはやはり違います」
オランダの社会環境と比べ、不満を訴える声が目立った。
◇現実に目向けた話し合いを
社会学者で家族計画が専門のエバート・ケティング氏(54)に聞く
私が最近オランダの10代男女に行った調査では、性の悩みを親に相談したいと半数が答えた。大人は期待されている。ただ、残りの半数が親と話したくないことも忘れてはいけない。性行動が活発になるのは、生物が親離れするプロセスなので、これも当然のことだろう。
社会に情報やサービスを提供する様々な受け皿があれば、それだけ「性」の面でも個人は自立できる。家族計画の専門家の間で、なぜ科学技術立国の日本で、近代的避妊法に対する意識が低いのかは疑問の一つ。国民性だけで、片づけていい問題だろうか。
オランダのキーワードは「オープン」「寛容」「現実主義」だと思う。いつもオープンに話し合い、守れない過去のモラルより、個人の身に起きている現実に何が役立つかを優先させてきた。
すべての「性」に関する問題がなくなったわけではない。都市部での性感染症の増加や、移民の人々への情報提供の難しさは頭の痛い新たな問題だ。いくつもの民間団体が取り組みを進めている。
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