「性」の情報はどう提供されているのか。オランダでは、民間を中心に様々な施設、制度がある。性感染症の増加など、新たな問題への対応もとられている。
●気軽に相談 避妊を手助け 家庭医
近所の開業医で避妊や性感染症、更年期の相談が受けられる。かかりつけの医師が健康・医療すべての窓口になるオランダの制度は、高い避妊の実行率に結びつく。ピルの薬代は基本の保険でカバーされるので個人負担はゼロ。医師には守秘義務があり、未成年者であっても、処方をうけたかどうか保護者に知られる心配はない。
アムステルダムの女性医師(35)は「確実な避妊手段が身に付くよう情報提供し、本人の自覚をうながすのが役目」という。ピルの場合、診察の初回にはなぜ必要か、使い方を知っているか本人に話してもらう。その後副作用のリスクや、性感染症が予防できないことも説明する。
中絶手術には、専門の民間クリニックが全国にあり、医師や看護職のほか、カウンセラーが常駐する。
●議論や実地で具体的に学ぶ 性教育
小学校高学年になると、科学的な視点で男女の違いや出産のしくみを教え、性行動が活発になる直前の13〜14歳では、より具体的な授業に取り組む。
教えたいのは、コミュニケーション。「どんな問題を解決するにも相手と話し合うことが重要」と、全国規模の保健団体GGDの担当者。ドラマ形式のビデオを使って「準備なしにデートに誘われたら」といったテーマを話し合う。性感染症について説明したら、コンドームを街に買いにいき、また話し合う。
●ネットで埋もれたニーズ発掘 高齢者
高齢者の性に関するインターネットサイトが今年から始まった。教育省主催の「シニアウェブ」。「抱き合うことはセックスの代用になるか」「高齢者にとってセックスは大事か」とのテーマに、「いくつになってもやさしく肩を抱かれたい」「これから知り合う人ともセクシュアルな関係に進みたい」など盛んにメールが届く。
運営する民間団体NISSOの担当者は、ネットの匿名性を利用し、埋もれた高齢者のニーズを探りたいという。バイアグラによって男性が機能を取り戻し、それを苦痛に感じる女性との溝が深まるなど、新しい問題の掘り起こしにもなっている。
●数字でみるオランダ女性
■第1子出産年齢 29.2歳(00年) (日本 28.0歳 00年) ■合計特殊出生率 1.56人(97年) 1.64人(00年) (日本 1.35人 00年) ■経口避妊薬(ピル)の使用率(99年) 16〜19歳 48.0% 20〜24歳 75.0% ■人工妊娠中絶率(15〜44歳の女性人口千人に対して) 90年 5.2件 99年 7.4件 (日本99年 11.3件 15〜49歳)
(11/04)
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