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         よみうり教育メール   発行日:2001.02.05(vol.80)
                    発行者:読売新聞社 http://www.yomiuri.co.jp/
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教育相談

学校が、長女にひどい「ぬれぎぬ」 相談

◆長女は県立高校の1年生です。髪はもともと栗色で、「服装容疑」と言う検査で毎回注意を受けています。入学当初、担任に相談したところ、小さいころの写真など地毛であることがわかるよう文書につけて、持たせてくださいと言われました。4歳ごろの写真をつけ、地毛であること、何か不明点があったら連絡をいただきたいと書いた届け出用紙を持たせました。
 3学期の検査で、髪が赤すぎるとまた注意され、再検査すると別室で4人の教師に囲まれ、「日の当たる場所で根元から見るから」と、散々髪をいじくられました。その間も「ちょっと赤すぎるわね」とか、「髪自体も薄いわよね」(これは本人が特に気にしていることです)とか言い続けられたそうです。届出用紙を見せているのに。そして、「今回はいいけど、これ以上悪くなったら、黒く染めてもらう」と言い渡されました。
 これ以上悪くなったら、と言うのは、今現在悪いと決め付けられたことです。自然の ままの今の自分が悪いと言われた長女は、かなり傷ついています。
 今時の子供で、髪が墨のように真っ黒な人が、いるのでしょうか? 日を当てて、赤く反射しない人がいるのでしょうか? 我が家は全員栗毛です。二女はもっと赤いのです。
 一番はっきりしない、教師の思い込みで、黒い赤いと決め付けられ、理不尽な言いがかりで傷ついた長女を見ていると怒りがこみあげます。自然のままの状態を、はっきり規定を設けていないことで変えさせるというのは、黒く染めろと無理強いするのは、虐待ではないのでしょうか。
  教師という地位をかさにきて、言葉の暴力で子供を傷つける児童虐待だと思う私が、おかしいのでしょうか。
    ――― 主婦(41)

回答 私立大学講師 佐藤允彦
●まず、「服装容疑」という言葉に驚きます。最初から生徒を疑ってかかる学校の姿勢 が感じられます。なぜ「服装指導」といわないのでしょう。髪型と服装指導が中・高校 での生徒指導で一番問題の多いものの一つですが、とくに髪型は体の一部であり、人格 の象徴ともいえるもので、これを規制することは基本的人権にもかかわることで、規制 を正当化するだけの合理的根拠が必要です。
 茶髪、ピアス、異装などが非行化の前兆であるとして、強く指導する学校の心配は理 解できますが、生来栗毛色であることを写真まで添えて届けているにもかかわらず、染 めていると疑い、4人の教諭による「取調べ」をしたのは行き過ぎと感じます。なぜ、 1人の教諭による親身な対応ができないのでしょう。
 とりわけ高圧的な言葉遣いには、当事者でなくても反発を感じます。不登校になる生徒が増えていますが、教師による心理的圧力もあると言われています。教師はもっと生徒の心の内を理解するよう、教育相談の技法を学ぶべきです。  もし、度重なる指導で染めていないのに染めていると疑われ、登校意欲がなくなったら、だれの責任になるのでしょう。不登校にならないうちに問題の解決を図らねばなりません。
 ご両親でことの次第を校長に伝え、善処するように申し入れすべきでしょう。その際、学校と対決するという姿勢ではなく、学校の指導のあり方に疑問を感じるので説明を求めるという態度に徹するのがよいでしょう。大切なのは、子どもが楽しく充実した学校生活を過ごすことです。不合理な扱いを排除することは親として当然です。
 ある女子生徒が「おもしろくもない授業に耐えている代償として、茶髪くらい許してもいいのでは……」と言った言葉が印象的でした。学校は茶髪だけではなく、携帯電話やアルバイトなどの問題を生徒・保護者と十分話し合う機会を持たねばなりません。

回答者 さとう・のぶひこ。1936年生まれ。長野県出身。元東京都立高校校長。生徒指導、進路指導、教育相談、学校経営などを専門としている.