よみうり教育メール発行日:2005.03.11(vol.1110)
発行者:読売新聞社
=相談コーナー= 茶髪児童への指導に悩み
【相談】 山形県、男性
へき地の小学校で生徒指導を担当しています。最近、低学年女子児童の中に頭髪を金色に染めて来る子がいます。母親の勧めで染めたとのことで、満更でもない様子です。中学年男児にも数人いましたが、こちらは子供と担任が話し合い、改善されてきています。頭髪は体の一部で、子供の人権のこともあり、慎重に対処しなければならないことですが、親がこのようなことをまだ発達途上の子供に平気でしてくることに対し、どのように説得力のある指導をすればよいでしょうか。
【回答】 山田中学生問題研究所代表 山田 暁生
「最近の親は、子供に注意すると逆に抗議してきたり、『うちにはうちのやり方があるのだからガタガタ言わないでほしい』と、こちらの指導を拒否してくるので本当にやりにくい」という先生が増えています。あなたも同じような悩みを持っているのでしょう。でも、悩んでいるだけでは指導が進みません。
おっしゃるように、「頭髪は体の一部」で人権にかかわることでもあるので、それを教師といえども勝手に切ったり、色を染め直したりすることはできません。あくまでも、本人と保護者の理解にまでこぎ着ける説得の努力が必要です。
でも、そこまでエネルギーを注ぎ込んで髪の色を黒くさせることが、教育にとって重要なことでしょうか。「親も子も、飽きれば変えるだろう」ぐらいに構えてはどうでしょうか。あなたもご存知のように、今は保護者会をすれば、ほとんどの親が茶髪の傾向にあります。生活に溶け込んだ風景なのです。先生方でも、茶系に染めている人を随分見かけます。
ここまでくると、かたくなに「日本人の髪は黒でなくてはならない」と考え、「髪は黒いのが正常で、それ以外の色にすることは学校では異常」として指導を貫くことが、果たして大事な教育活動かと私は思います。マスコミを通じて、どこかで何かがはやりだしたというニュースが出ると、今は全国津々浦々まであっという間にはやりだす傾向が強まっています。「それはいかん!」と教師だけが火消しに躍起になっても、誰もが心から納得する主張でない限り、労多くして効少なしです。
発達途上の子供に重大な影響があるとの判断でしたら、保護者と度々会ってその根拠を示し、繰り返しあなたの思いを誠実に示しながら、保護者が徐々に受け入れる心を待ってみませんか。説得力を発揮するには、
1.説得される側に、受け入れる気持ちが多少なりともあること。
2.説得する側に、相手が納得する理(根拠や理由、正当性、日ごろの心の交流)がある話ができること。
この二つの条件が必要です。
回答者 やまだ・あきお 東京都内の公立中教師、NHKラジオの電話相談番組のアドバイザーなどを経験。父母と教師の相互理解、中学生の理解と指導などが専門。著書に「万策尽きたとあきらめずに」(山田中学生問題研究所)ほか。