Top Pageへ戻る

N111  フェミニズム・女性学・ジェンダーフリー・地位
紹介記事目録
分類表にもどる

記事紹介の留意事項


































































朝日
2002/05/10
夕刊 5
No .N111a020510e5

文教大学教授


遠藤織枝
シリーズ・特集; 単眼 複眼
見出し:
ドラマでの「男女言葉」考/性差ない時代への回帰?
メモ :
今のドラマでは、女が男みたいにしゃべるし、逆もまた同じ。世の中どうなってるんだか……そんなオジサン、オバサンのぼやきを裏付ける実証的な研究が、文教大学教授の遠藤織枝さんの手でまとめられた。
60年前のラジオドラマと、最近放映されたテレビドラマを比べたところ、性別による特有の言い回しが激減。男女の言葉の差は確実に縮まっている。

遠藤さんが比較したのは、1938年から1944年にかけてのNHKラジオドラマ「遥かなる地平」「廬溝橋」「翼」など11本(小林勝脚本)と、2000年〜3月、TBS系で放映された木村拓哉、常盤貴子主演の「ビューティフルライフ」(北川悦吏子脚本)。恋人同士の会話、親子の会話など類似の場面ごとに各約3500の発話(男性2000、女性1500)を無作為に選んだ。

変化は「ニ人称」「語尾」「返事」に顕著に表れた。戦前のラジオドラマでは、男性が使うニ人称は「君」が圧倒的だったが、「ビューティフルライフ」ではゼロ。「杏子」「柊ニ」と名前を呼ぶパターンがもっとも多かった。

男性が使っていた終助詞「言っていた」は18回から10回。「行こう」は20回からゼロに減った。女性の終助詞「すばらしい」も240回からゼロになった。

戦前には、「はい」「ええ」という女性に顕著に多かった返事(応答詞)が男女共通になった。また戦前は女性にはまったく見られなかった「うん」が急増し、男性を上回った。

恋人同士の会話にも変化がみられる。戦前は女性から男性に「いらした」「おもらいになったのね」と敬語が使われていたが、「ビューティフルライフ」ではゼロ。
「そうなんだ」という言い切りが男女共に使われている。親子でも娘から母への敬語が消え、対等な話し方に終始している。

これは「言葉の乱れ」なのか。遠藤さんは異を唱える。

遠藤さんによると、古事記では男女とも同じ言葉を使っていた。平安時代に入り、女は漢語を使わないなどの差が生まれた。しかし宮中の言葉などを除き、性差のない状態は続く。
『浮世風呂』などの文学でわかるように、江戸時代の庶民の会話に性差はなかった。言葉の性差が明確になったのは明治以降という。

「男言葉、女言葉のはっきり分かれている方が長い歴史から見ると異例。現代はまた性差のない状態に戻りつつある」と遠藤さんは話している。

ページのはじめにもどる