女子大の存在意義が問われる中、日本の女子大が、アフガニスタンの女子教育支援に乗り出す。女子大の「特性」を国際協力に生かし、新しい姿勢を示すのが狙いだ。
調査研究本部 北村 節子
17日、アフガン暫定行政機構のラスール・アミン教育相が、女子教育の現場を視察するため、東京のお茶の水女子大(本田和子学長)を訪れた。
タリバン政権下で滞っていた女子教育の復興支援に乗り出すのは、同大のほか、奈良女子大、東京女子大、津田塾大、日本女子大の5つの女子大。2月に連携組織を設立し、今年度からアフガンの女性教員候補を招いて研修する準備を進めてきた。3年間、10―20人を6週間ずつ招き、理科実験や幼児教育の現場などを体験してもらおうという内容だ。
同組織の代表を兼ねる本田学長は、女子大がアフガンを支援する意味について、「女子大ならではの利点がある」と強調する。その一つとして挙げるのが「女子に教育は不要という考えの時代から培ってきた教育のノウハウ」だ。
日本では明治以降、女性の就業機会が少ない中で、教員は「女性の適職」と見なされ、社会から歓迎されてきた。女子教育が壊滅状態のアフガンでは、女性教員の育成から始めねばならず、こうした日本の経験が役立つ、という。
同組織は、「女子大では女性教員の比率が高く、女性の社会参加のモデルを提示でき」、「共学に比べて規模が小さく、教員が少人数の学生にきめ細かな指導を行える」と説明する。男性と接する機会が極端に少なかったアフガン女性にとっては、女子大キャンパスは落ち着けるはず、とも見る。
同窓会の機能も見逃せない。各世代の女性がボランティアなどで在学生や留学生の面倒を見る、という伝統は、共学大より女子大で強い傾向がある。
こうした「女子大ならでは」の特徴は、実はそのまま現在の女子大がアピールしたい姿でもある。お茶大、奈良女大は国立大学の独立行政法人化を前に、あらためて公的な女子大の存在意義を問われているし、私立の3大学は少子化の中、共学に流れがちな学生をひきつける工夫が求められている。
一昨年末、お茶大、奈良女大が卒業生と大学院修了者1万1000人余を対象に調査したところ、7割以上が「男性に頼らない独立心を養える」などとして「男女別学維持」を支持した。別学支持率は若い層ほど高かった。また、70歳代を含む回答者の7割近くが「有職」と答えており、生涯にわたる有職率の高さも目立つ。結果を受けて両大学では「女子大は古い、というのは固定的な見方。むしろ、女性の社会参加を支援し、リーダーシップを養う機能を持っていることが裏付けられた」と女子大の「新しい役割」を強調する。
お茶大が今年度中に、女性研究者や大学院生に配慮して学内に零歳児から受け入れる保育所を新設する動きなども「新しい役割」を意識したものだろう。同大では、全学生の1割が留学生で、その8割をアジア出身者が占める。今回の試みは、「アジア支援に力を入れて、国際色を強めたい」という大学の戦略に沿ったものと言える。
米国でも1970年以降、女子大不要論が喧伝(けんでん)された。90年ごろまでに約3分の1まで減ったと言われるが、スミス・カレッジやシモンズ・カレッジなど名門女子大は、「女性の職場進出、リーダーシップ育成」を明確に掲げることで生き残った経緯がある。
「女子大の役割は女性リーダーを育てることにある。それをアフガン支援にも生かしたい」という、大学側の力量が問われている。
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