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「手伝います、キミの禁煙」 中高生向けサポート
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![]() ■「しかるより」専門外来 秋田市にある中通(なかどおり)総合病院(539床)に今年9月、新しい外来ができた。 「未成年者禁煙外来」 中学生や高校生を対象に禁煙の指導をする。毎月第3木曜日が診察日。開設後、保護者や学校から「どうやって受診するの」「受診料はいくら」といった問い合わせが5件ほどあった。12月には、学校から薦められた中学の男子生徒が初めて受診する予定だ。 担当するのは小児外科医の松田淳さん(49)。学校の先生と一緒に01年、県北・県南の小・中・高生約6000人に調査した。高3男子の7割に喫煙経験がある学校もあり、深刻だった。中通総合病院に以前からある大人向けの禁煙外来を基に、開設に踏み切った。 「たばこをやめられない子は、しかるのでなく、治療が必要。看板を掲げ、『怒らないから来て』と呼びかければ治療に結びつく」。松田さんは3年間に県内の小・中・高校を25回訪問し、たばこの害を話してきた。高校では「やめられない人は相談して」と、外来の紹介もしている。 静岡市の静岡県立こども病院にも、15歳以下が対象の「卒煙外来」がある。昨年10月に始まり、これまでに中学生4人、高校生1人が受診した。電話の問い合わせは、九州や東北地方など全国から約50件あった。 担当医師の加治正行さん(49)は、初めに同伴の保護者や先生に席を外してもらい、子どもと1対1になる。なぜ吸い始めたかを聞き、たばこの害について話す。さらに、肌に張ってニコチンを少しずつ摂取する「ニコチンパッチ」の使用を勧める。たばこをやめたときの禁断症状を和らげられるからだ。緊張していた子どもも「体に悪いってわかったから、やめる」と理解する。 初診後、ニコチンパッチを張ってすぐやめられる場合が多い。その後も1〜2週間おきに自宅に電話し、本人が「もう大丈夫」と言うまでフォローする。 こうした禁煙外来は医療保険が適用されず、診察料やニコチンパッチの料金は受診した人の負担になる。こども病院の場合は紹介状が必要で、診察料は6500円だ。 加治さんは「受診までのハードルが高いのが悩み。近くの病院やクリニックでも気軽にパッチを処方してもらえるようになれば」と話す。 ■「ドンマイ」応援メール 禁煙を続ける子どもたちを携帯電話のメールで支えるプログラム「禁煙ジュニアマラソン」が今年5月、始まった。 たばこをやめた経験者や医師たちのボランティアグループ「禁煙マラソン」が運営する。原則として、保護者や学校の先生たちがホームページ(http://kinen-marathon.jp/)から申しこむ。 いま全国から、中学生と高校生30人が登録している。初めの2週間は1日に5〜8通のメールが来る。内容は、たばこの害や、ニコチンパッチを使って禁煙に成功した人が多いことの説明など。徐々にメールが減るが、1年間は続く。 ジュニアマラソンには携帯電話の「掲示板」もある。例えば、参加者が「友だちの誘いも断ってきたのに、父のたばこ吸っちゃった」と書き込むと、スタッフは「先輩より。残念だけどドンマイ! マラソンは始まったばかりだよ」と返事を書き込む。 もともとある大人向けの「禁煙マラソン」は97年に始まった。希望者は参加費を払って登録し、一斉に送られるメーリングリストのメールによって、励まし合って禁煙を続ける。延べ2500人が参加している。 ジュニアマラソンの方は参加費が無料。運営事務局は「子どもの禁煙に取り組むのは社会貢献の一つと考え、禁煙マラソンから経費を出している」としている。 ■“はり薬”成人より効果 奈良女子大学の保健管理センター所長で医師の高橋裕子さん(49)は10月、日本公衆衛生学会で未成年の喫煙について研究結果を発表した。 高橋さんは、奈良県大和高田市の市立病院で94〜02年まで禁煙外来を担当し、約300人の未成年者を診た。うち、01年に受診した10〜18歳の42人と成人386人の追跡調査をした。 その結果、禁煙補助剤のニコチンパッチが未成年にも効果があるとわかった。禁煙できるまでに使ったパッチは成人が平均21.7枚だったが、未成年は2.9枚だった。 また、禁煙を始めて1年後にも続いているのは成人が44%、未成年が34%。この結果から、禁煙を続けるためには精神的な支援が必要だという。 高橋さんは「子どもは吸い始めて数週間で依存になるケースも多い。大人と違い、『健康のためにたばこをやめよう』といった動機を持ちにくいので、周囲の大人が禁煙を支える必要がある」と話している。 <未成年の喫煙> 厚生労働省によると、喫煙者のうち、未成年でたばこを吸い始めた人は半数以上いる。01年の同省の調査報告では、たばこを吸ったことがある中学1年生は男子で20%を超える。米国の研究では、子どもがたばこの煙を吸うと、背が伸びにくくなり知能の発達に影響があるとされる。10代で吸い始めると50代でがんで亡くなる割合が高くなるという研究結果もある。厚労省は「2010年までに未成年者の喫煙をゼロに」と目標を掲げたが、対策はまだ検討中だ。 |